特別養子縁組|子どもに温かい家庭を。山梨県の「特別養子縁組」推進とパーマネンシー保障  |  ミダス財団

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特別養子縁組|子どもに温かい家庭を。山梨県の「特別養子縁組」推進とパーマネンシー保障

Interview

DATE: 2026.07.23

山梨県が推進する「家庭養育優先」の取り組みの現状と、子どもの「パーマネンシー(永続的な関係性)保障」にかける思い。全国でも未だ導入自治体が少ない「養親希望者手数料負担軽減事業」を導入した背景にある、県担当者の決意と今後の展望について、ミダス財団が山梨県こども福祉課依田課長、齊川課長補佐、赤池主事にお話をお伺いしました。

写真:左から依田課長、赤池主事、齊川課長補佐

山梨県における社会的養護の現状と「思い」

── 現在の山梨県内における社会的養護を必要とする子どもたちの現状や、家庭養育推進における課題について教えてください。

県内では全国と同様に、児童虐待相談対応件数と一時保護される児童の人数が増加傾向にあり、里親の確保が課題となっています。家庭養育優先という方針は理想的ですが、子どもが家庭的な環境の中で安心して生活するためのサポート体制や、サポートを担う人材が十分にいないことが課題となっています。しかし、日本財団様と連携して家庭養育推進自治体モデル事業を進めてきました。その取り組みを進める中で、児童を保護した後は可能な限り早く、子どもにとって安定した関係性と帰属意識を持ちながら生活できる環境を確保することが重要だと捉えています。

── 現場でのサポート体制として、具体的にどのような工夫をされていますか?

現在、県内には2か所の児童相談所、3か所の里親支援センターを設置しています。県と里親支援センター間で契約を締結し、相互の役割分担と個人情報の取り扱いルールを明確化しました。これにより、里親の同意を得ながら情報を活用し、支援を実施する枠組みを構築しています。

子どもの「永続的なつながり」を求めて―特別養子縁組の推進

── パーマネンシー保障の観点から特別養子縁組は重要ですが、マッチングにおいて直面している課題はどのようなものがありますか?

里親の登録数は増加していますが、候補児童とのマッチングがなかなか進まないという課題があります。その背景には、子どもと里親の希望条件の違いや、里親の仕事の状況・家庭スタイルの多様性などがあります。また、地域には依然として「実親が子どもを育てるべき」という考え方が根強く残っており、里親に対する理解が不足していることも要因と考えています。

── そのようなマッチングの難しさに対し、現場に対してどのような支援を行っているのでしょうか?

各児童相談所に里親支援を担当する児童福祉司を配置し、通告児童などを扱うセクションとは分離して、里親の育成や研修、相談支援に専念できる体制を整えています。また、マッチングを促進するため、数日から数週間、長い場合は2~3か月程度の期間で受け入れる「短期里親」の活用を推進しています。これにより、里親が段階的に養育経験を積み、長期の養育里親への移行やステップアップができるよう支援しています。

民間あっせん機関との連携と、全国に先駆けた「養親希望者 手数料負担軽減事業」

── 山梨県内には民間あっせん機関がない状況ですが、県外の機関を活用する方針に至った背景と、連携における課題について教えてください。

県内にあっせん機関がない状況下でも、広域で活動する民間あっせん事業者であれば速やかな縁組成立を目指せると考えており、積極的に連携・活用するという方針を明確にしています。

── 今回「養親希望者手数料負担軽減事業」を導入するに至った決め手と、そこに込められた思いをお聞かせください。

民間あっせん機関を活用する上で、高額な「あっせん手数料」が養親希望者の大きな経済的負担になっていました。養親希望者のニーズを把握した結果、制度を利用したくても利用できない方がいる実態が浮き彫りになりました。そこで、実際の利用件数は少ないものの、何よりも「永続的なつながりを必要とする児童の最大の利益」に重点を置き、予算を確保して助成金制度を導入しました。昨年度は1件の利用実績がありましたが、今後はさらなる制度の周知拡大を図っていきたいと考えています。

── 当該事業を導入する上で、庁内の調整など大変さはありましたか。

利用件数自体は多くないものの、「子どもの最善の利益の実現」を最優先に考え、導入に至りました。

すべての子どもが幸せな人生を描ける社会へむけた今後の展望

── 今後のすべての子どもにパーマネンシー保障の早期達成に向けた、具体的なケースマネジメントの取り組みについて教えてください。

県では、基本的に家庭分離となった児童一人ひとりに対してパーマネンシープランを作成しています。児童相談所の「移行班」やケースワーカーが一緒にプランニングを行い、状況変化があるケースは3か月ごと、変化が少ないケースは6か月に1度、進捗状況を確認しています。また、家庭維持支援の取り組みとして、今年度からは妊産婦等生活援助事業所を県内に設置し、困難を抱える妊婦への伴走支援体制も整備し始めました。

── 最後に、「すべての子どもが幸せな人生を描ける社会」の実現に向けて、社会や企業に期待することやメッセージをお願いします。

特別養子縁組制度や里親制度の理解を促進するとともに、里親や養親が仕事と家庭を両立しながら子どもを育てられる環境づくりへの理解を広げていくことが大事であり、地域社会全体で子どもを育てていくという意識を醸成する基盤整備が急務だと考えています。

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